メニュー

免疫細胞療法とは

  1. 要点
  2. がんへの攻撃力を高める免疫細胞療法
  3. 免疫細胞療法の特徴

要点

◆ 免疫細胞療法とは、体の外でご本人のがん細胞と戦う免疫細胞の攻撃力を高めて体内に戻す治療法です

◆ 免疫細胞療法は、ほとんどの種類のがんに対して行える副作用の少ない身体にやさしい治療法です

◆ 免疫細胞療法は、放射線治療や化学療法、温熱療法との相性が良く、これらの治療との併用により治療の効果を高めることが期待できる治療法です

◆ 免疫細胞療法の治療(細胞投与)は毎回30分ほどで終わる日帰りでの通院治療となります(細胞投与は、点滴、または皮下や腫瘍への注入で行います)

◆  治療期間の目安は2~5か月間です(実際の治療期間は、治療法や治療を行う回数、併用治療などで異なります)

◆ 免疫細胞療法は治療後の再発予防としても期待されている治療法です

がんへの攻撃力を高める免疫細胞療法

がんの「免疫細胞療法」とは、ご本人のがん細胞と戦う免疫細胞を採血で体外に取り出し、培養により「がんへの攻撃力を高め」体内に戻す治療法です。

 

「がんへの攻撃力を高める」とは、以下の培養・加工処理を指します。

 

・細胞の絶対数を数十倍から百倍以上に増やす。

・免疫細胞を活性化させ、体内に戻したときにすぐに戦える即戦力に育てる。

・免疫細胞に敵(がん)の目印を覚えさせる。

・免疫細胞に体内で免疫力を活性化するための加工をする。

 

免疫細胞療法の特徴

免疫細胞療法には以下の①~⑤のような特徴があります。

 

① 副作用がほとんどない身体にやさしいがん治療

免疫細胞療法は、ご本人の細胞を使用するため副作用はあっても数日でおさまる微熱や倦怠感です。一般的ながん治療(標準治療)と比較すると、ほとんど副作用のない身体にやさしい治療法と言えます。また、薬物療法(化学療法など)や放射線治療などの標準治療はがんの治療への耐性や副作用のため繰り返しの治療には限界がありますが、免疫細胞療法は副作用がほどんどないため、繰り返し行えることも大きな特徴といえます。

 

 

② がんの種類やステージを問わず行えるがん治療

血液がんを除くほとんどすべてのがんが対象となり、身体への負担が少ないため、がんの初期から進行・再発がんまで治療が可能です。特に、体力が落ちて薬物療法など標準治療が行えない方でも、生活の質を落とすことなく様子を見ながら治療の継続が可能な点は、がん治療における免疫細胞療法の大きな特徴と言えます。

 

 

③ 標準治療を含めた他の治療との併用による相乗効果(治療効果の向上)

がんに対する免疫の力(がん免疫力)は、治療の有無とは関係なく日常的に働いています。そのため当然、がんの三大療法(手術、薬物療法、放射線治療)などでの治療中又は治療後も働き、これらの治療成績に貢献していることが分かってきています。別の言い方をすれば、三大療法を行うときも、患者ご本人の高いがん免疫力が治療結果を向上させるためにとても大事であるということです。

 

しかし、一般に、がんを患った方の多くでがん免疫力の低下(免疫細胞数のバランスの乱れや数の低下)が認められます。そして、この低下は、がん三大療法(化学療法や手術の後の体力の低下など)によっても起こります。これは、治療により、敵であるがん細胞もダメージを受けますが、味方である免疫細胞もダメージを受けるということです。治療後に、体内にほどんどダメージを受けていないがん細胞がいる可能性を考えると、治療直後で免疫細胞が弱っている時期に、即戦力となる免疫細胞を補ってあげることができれば理想的ですが、これが可能なのが、免疫細胞療法です。免疫細胞療法は、がん三大療法への併用により、がんやがん治療により弱った(がんと闘う)免疫細胞のバランスを補正し数を底上げすることで、よりよい治療結果を期待できる治療法と言えます。

 

ご参考までに、以下に当院での免疫細胞療法のがん三大療法への併用例をお示しします。

 例1) 化学療法への併用例:1コース6回の化学療法(抗がん剤)を行っている場合、各回の投与終了後(次の化学療法投与日までの間)に免疫細胞療法の投与を1回行い、これを繰り返していく。

 例2) 放射線治療への併用例:放射線治療終了後数日を目途に、免疫細胞療法を開始する。

 例3) 手術療法への併用例:手術終了後に、再発予防目的に免疫細胞療法を開始する。

 

また、免疫細胞療法は、温熱療法や一部の薬物療法(主に分子標的治療薬)との相性がよく、当院でも同時期の併用を推奨させていただいております。

さらに、白血球が減ってしまうような治療、例えば、上述の例1 でお示ししたような薬物療法(主に抗がん剤)や、広範の骨(脊椎、骨盤等)への放射線治療、免疫療法抑制作用のある薬剤による治療をされている場合も、治療のタイミングなどの調整により併用治療が可能です。

 

 

④ 日帰り通院での治療

免疫細胞療法の治療回数や、各治療の日にちの間隔は治療法によって異なりますが、大よそ2~4週間おきの細胞投与を4~8回繰り返して行います。治療期間はを2~5ヵ月ほどになります。細胞投与(治療)は、注射または30分ほどの点滴で終わる日帰りでの通院治療となります。

 

 

⑤再発予防効果

がんは、発見が早期であればそれだけ治る可能性が高い病気ですが、早期のがんでも治療後に画像などで見えないがん細胞が体内に残り、再発してしまうことがしばしばあります。再発しても、同じ治療法を繰り返し行うことで治すことができればよいのですが、通常、再発すると最初に見つかった時よりも治療が難しくなってしまいます。そのため、特に根治を目指すことができる状態では、初期治療後の再発を予防することができる有効な追加治療が欲しいところです。

 

しかし、一般的ながん治療(標準治療)では、一通りの治療を終え、画像検査などで体から見えるがんがなくなると、様子見期間に入るのが通例です。そして、この「様子見期間」というのは、現実として、治ってしまう人にとっては「治ったことを確認する期間」ですが、再発してしまう人にとっては「がんが再発してくるのを待つ期間」になってしまっています。

 

肺がんの約80%を占める非小細胞肺癌(肺腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌など)を例にとると、がんの早期である期(ステージ)でも5年以内に2030%の人が再発し、多くの再発が2年以内に起こると報告されています。これは、早期に肺がんが見つかったにもかかわらず、根治を目指すのが難しくなり、抗がん剤治療などを再開される方が2030%におよぶことを示しています。治療をすればほぼ治ると考えられる状況で治療を終え、数年後に再発を告げられることは、患者ご本人やそれを支えるご家族にとってたまったものではありません。

 

この問題を解決するために、これまでに早期がんの初期治療後に「免疫細胞療法」を行う複数の臨床試験が行われてきており、「免疫細胞療法」の初期治療後の再発予防と生存期間の延長効果が示されています。もちろん、この追加治療による副作用がほとんどない(特徴①)ことも確認されています。また、上述の早期の非小細胞肺癌でも、術後に「免疫細胞療法」を行った場合、何もしない場合と比べて優位に再発率を下げたことが報告されています。

 

免疫細胞療法は、がんの早期だけでなく全てのステージで治療効果が期待できる治療法です。そのため、再発予防効果は、早期がんだけではく、治療後に画像で見えるがんがなくなった状態、または、見える腫瘍が小さくなった状態でも同様に期待できると言えます。このように、免疫細胞療法は、治療を終えた時点で体内に残り放っておけば再発のもとになってしまうがん細胞を治療後早期に排除することで、再発の予防に貢献できる治療法として期待されています。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME