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NKT細胞標的治療について

  1. 要点
  2. 対象となる方
  3. がん免疫療法の分類
  4. NKT細胞標的治療
  5. NKT細胞標的治療の治療スケジュール
  6. NKT細胞標的治療の副作用について
  7. 治療を行えない方

要点

◆  NKT細胞標的治療は、重い副作用がないため、生活の質を落とすことなく生存期間を伸ばす効果が期待されている治療法です。

◆  NKT細胞標的治療は、がんを攻撃する免疫系の活性化の司令塔であるNKT細胞を活性化する治療法です。同治療1コースによるNKT細胞の活性は、治療後半年から1年間程の期間保たれるため、がん細胞への継続的な攻撃による効果が期待されています。

◆  血液がんを除くほとんどすべてのがんを対象に治療を行っています。

◆  NKT細胞標的治療は、1コース4回の治療を初回投与から1-2ヵ月の期間で行います。治療自体は点滴又は皮下注射で行うため、日帰りの通院治療となります。

対象となる方

当院でおこなっているナチュラルキラーT (NKT)細胞標的治療は、2009年に結果が公開された臨床試験において、重い副作用がないことが示され、生活の質を落とすことなく生存期間を延長できることが期待されている治療法です。血液がんを除くほとんどすべてのがんを対象として治療を行っております。

当院では、以下の①~⑤に該当する方を対象に治療を提供しております。

① 標準治療が行えなかった方

②化学治療で治療中の方、又は、これから化学療法、外科手術、放射線治療、温熱療法を受ける予定の方

③ 標準治療のあと、現在無治療経過観察中だが、検査画像(CT、レントゲン、PET、MRI等の画像)で見えるがんがあり、がんの進行が心配な方

④ 検査画像で見えるがんはなく、現在無治療経過観察中だが、再発が心配な方

⑤ 症状があっても軽度で、日常生活に支障はない(体力面で問題が無い)が、担当医師から緩和医療をすすめられた方

がん免疫療法の分類

近年、がん治療の「三大治療(手術、化学療法、放射線療法)」に加え、第4の治療法として、免疫療法が注目されるようになってきました。

人の体では、健康な人でも日々数千のがん細胞が発生していると言われていますが、これを最もダイナミックに制御しているのが私たちの体に本来備わっている「免疫」という仕組みです。「がん免疫療法」は、この免疫のがん細胞を殺し除去する働きを利用した治療法です。

がんに対する免疫の力は、治療とは関係なく、普段から働いているため、当然、がんの三大治療の治療中又は治療後も働き、これらの治療成績に寄与していると考えられます。また、「がん免疫細胞療法」によって、手術後の生存率が改善するという報告もなされており、副作用の心配をせず再発予防効果を期待できる治療と言えます。

現在、「がん免疫療法」は、①「がんに対する免疫を増強する治療法」と、②「がんによる免疫のブレーキをはずす治療法」に分けられます。①には、がんワクチン療法、サイトカイン療法、樹状細胞療法、活性化リンパ球療法、がん抗原特異的T細胞療法、抗体療法などがあり、②には免疫チェックポイント阻害療法があります。

(*)がん免疫細胞療法・・・ここでは、患者様の体から「免疫細胞」を取り出して培養/加工後に体内に戻す治療の総称として用いています。ここにある分類では、①の「樹状細胞療法」、「活性化リンパ球療法」、「がん抗原特異的T細胞療法」が該当します。

これらの治療法のうち、NKT細胞標的治療は、自身のリンパ球を用いる活性化リンパ球療法の一種で、血液から血液細胞を取り出して、培養後、体内に戻して、強力な抗腫瘍効果を示すNKT細胞を活性化させる治療法です。

NKT細胞標的治療

1)NKT(ナチュラルキラーT)細胞とは

NKT細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞に続く「第4のリンパ球」と呼ばれ、日常的には、病原体への感染防衛において欠かせない免疫細胞として働いています。

通常、自己の正常細胞からできたがん細胞に対しては、NKT細胞は十分な働きをすることはできませんが、NKT細胞を人工的に活性化する物質「αGalCer」(アルファ・ガラクトシルセラミド)によって活性化されたNKT細胞は、以下に述べる作用により、強力な抗腫瘍効果をしめすと考えられています。

2)活性化されたNKT細胞の主な作用

活性されたNKT細胞が抗腫瘍効果を示す主な作用として、以下の4つが挙げられます。

①がんへの攻撃を担う免疫細胞の増強作用
(*)がんへの直接的な攻撃を担うキラーT細胞、NK細胞、マクロファージなど

②チェックポイント阻害作用
 ・・・がん組織内の免疫を抑制する細胞の排除によって、再び、免疫によるがんの攻撃を可能にする作用

③血管造成阻害作用
 ・・・がん組織内の免疫環境を変化させることにより、がん組織のあらたな血管の構築を阻害する作用

④長期の免疫記憶作用
 ・・・がんに対する免疫を記憶する幹細胞を作り、長期間がんを攻撃できるようにする作用

3)NKT細胞標的治療とは

NKT細胞標的治療は、上述の作用により抗腫瘍効果を示すと考えられています。

NKT細胞標的治療では、まず血液から採取した単球を培養し樹状細胞に成長させます。この樹状細胞に、上述のαGalCerを取り込ませて、体内に戻すことで、体内のNKT細胞を活性化させます。

NKT細胞標的治療以外の活性化リンパ球療法では、がん細胞を直接攻撃するT細胞やNK細胞の投与が行われています。これらの免疫細胞の多くは投与後48時間ほどで死んでしまうため、がん細胞への攻撃は短期間に限られると考えられています。

これに対して、NKT細胞標的治療は、がんを攻撃する免疫系の活性化を担うNKT細胞を持続的に活性化する治療法です。同治療1コースによるNKT細胞の活性は、治療後半年から1年間保たれるため、がん細胞への継続的な攻撃が可能になり、原発巣の進行や再発・転移の抑制作用がより長期に持続することが期待されています。

NKT細胞標的治療の臨床試験結果の1例として、標準治療後のステージⅢ・Ⅳ・再発の非小細胞肺癌(腺癌・及び扁平上皮癌)17名を対象としたNKT細胞標的治療の臨床試験(phaseⅠ-Ⅱ)の結果が、2009年に千葉大学から報告されています。

この臨床試験において、NKT細胞標的治療が、一般的ながん治療と比べ、ほとんど副作用の無い治療であること、また、治療中にIFN-γの値が高くなった症例(高IFN-γ群)(10例)で、1年生存率100%、2年生存率60%、生存期間31.9ヵ月という結果が報告されています(下図)。

この試験の対象症例と病期や治療歴などの条件がほぼ同じで「他の治療法」を受けた症例の1年生存率と生存期間は、それぞれ30-35%、8-10か月ほどと報告されています。すなわち、この臨床試験結果での「高IFN-γ群」は、「他の治療法」を行った症例と比較して、1年生存率・生存期間共に約3倍に延ばす効果を示す結果だったと言えます。試験の性質上、これをそのままNKT細胞標的治療の生存率の優位性とは解釈できませんが、この結果から、NKT細胞標的治療は、「効く人には著効」する治療と考えられています。


 

NKT細胞標的治療の治療スケジュール

NKT細胞標的治療は、1コース4回の治療を初回投与から1-2ヵ月の期間で行います。治療自体は点滴又は皮下注射で行うため、日帰りの通院治療となります。日程の詳細は、治療決定時にご相談の上、調整させていただきます

NKT細胞標的治療の副作用について

特に重篤な副作用はありません。人によって、37℃ほどの微熱や倦怠感が見られることがあります。また、皮下注射で投与した場合、投与部の腫れや違和感が数日間残る場合がありますが、ほとんどのケースで自然に治まりますのでご安心ください

治療を行えない方

・全身状態の悪い方

・活動性の自己免疫疾患、自己炎症性疾患をお持ちの方

・妊娠中又はその可能性が疑われる方、授乳中の方

・乳幼児等

・継続的にステロイド治療をされている方

・以下の感染症をお持ちの方
  HIV
  成人T細胞白血病ウイルス
  梅毒(RPR法)検査陽性の方
  B型肝炎(抗体陽性者は除く)
  C型肝炎(既往があってもウイルス排除されている方は除く)

・その他、担当医が不適切と認める方

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